苫屋
とまや
名詞
標準
rush-thatched house
文例 · 用例
――深々と苫屋を伏せて、屋根より高く口を開けたり、家より大きく底を見せたり、ころりころりと大畚が五つ六つ。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
傍なる苫屋の背戸に、緑を染めた青菜の畠、結い繞らした蘆垣も、船も、岩も、ただなだらかな面平に、空に躍った刎釣瓶も、靄を放れぬ黒い線。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
ケケコッコ――谺に響く鶏の声、浦の苫屋か、峠の茶屋か。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
脊の伸びたのが枯交り、疎になって、蘆が続く……傍の木納屋、苫屋の袖には、しおらしく嫁菜の花が咲残る。
— 泉鏡花 『小春の狐』 青空文庫
木納屋の苫屋は、さながらその素袍の袖である。
— 泉鏡花 『小春の狐』 青空文庫
」 法師も言葉なく見送るうち、沖から来るか、途絶えては、ずしりと崖を打つ音が、松風と行違いに、向うの山に三度ばかり浪の調べを通わすほどに、紅白|段々の洋傘は、小さく鞠のようになって、人の頭が入交ぜに、空へ突きながら行くかと見えて、一条道のそこまでは一軒の苫屋もない、彼方大崩壊の腰を、点々。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
浦の苫屋のかげでひとやすみ。
— 太宰治 『陰火』 青空文庫
その幹の間から並んで動いて行く小さい苫屋が見えた。
— 岡本かの子 『百喩経』 青空文庫
作例 · 標準
浦の苫屋から立ち上る一筋の煙が、夕暮れの寂しさを引き立てている。
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豪華な屋敷よりも、静かな海辺の苫屋で余生を過ごしたいと彼は願った。
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雨風を凌ぐだけの粗末な苫屋だが、彼にとっては心安らぐ我が家だった。
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ウィキペディア
苫屋(とまや)は苫葺き(とまぶき)の粗末な小屋や小家屋のこと。苫(とま)はスゲやチガヤなどで編んで作った筵(むしろ)のことで、小屋の屋根や舟の覆いに用いる。
出典: 苫屋 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0