猫撫で
ねこなで
名詞
標準
文例 · 用例
僕は、それこそ、まさしく、猫撫で声を出して、「さっきは、ごめんね。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
」「猫撫で声は、よしてくれ。
— 太宰治 『乞食学生』 青空文庫
自分は、彼を手なずけるため、まず、顔に偽クリスチャンのような「優しい」媚笑を湛え、首を三十度くらい左に曲げて、彼の小さい肩を軽く抱き、そうして猫撫で声に似た甘ったるい声で、彼を自分の寄宿している家に遊びに来るようしばしば誘いましたが、彼は、いつも、ぼんやりした眼つきをして、黙っていました。
— 太宰治 『人間失格』 青空文庫
」「あの猫婆々アめ、いつもの猫撫で聲を出しやアがる」と、義雄は繼母の不斷を思ひ浮べた。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
」相變らずの猫撫で聲が中を取るやうに、「どうでしよう、ね、お千代さん、義雄さんにも相談しなけりやアならないでしようが――?
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
悪魔はその女の子の家の、高い窓にいつものやうに、ひらりと飛びあがつて、猫撫で声で、『娘さん、お早う』 といひました。
— 童話集 『小熊秀雄全集-14』 青空文庫
かれの蝙蝠安は松助よりももっとおとなしい、始終|猫撫で声で物をいうような忌な奴であった。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
それから、恰も、貴い身分の人に対するように、両手を前に束ねて、今までよりも一層親切な響をこめながら、殆ど猫撫で声かと思われる口調で私を慰めた。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫