舷々
舷々
名詞
標準
文例 · 用例
頓て本艦の間際になつたが、海は盤水を動かすがごとく、二千七百|餘噸の巨艦ゆらり/\と高く、低く、我が端艇は秋の木の葉のごとく波浪に跳つて、迚も左舷々梯に寄着く事が出來ない。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
翠嶂山と呼ぶこのあたり、何かわびしい岩礁と白砂との間に高瀬舟の幾つかが水に揺れ、波に漂つて、舷々相摩するところ、誰がつけたかその名も香木峡といふ。
— 北原白秋 『日本ライン』 青空文庫
騰るは天の竜巻と逆巻き喚ぶ狂瀾怒濤、頼め頼めの錨も何の船は木の葉の漂ふごとく、ちやりやきりり、きりやきりり、ちやりやきりり、きりやきりり、ちぎるる鎖、命の友綱、舷々相うち潰えて、さしもの元賊十万、あはれや千尋の底の藻屑となり了んぬ。
— 北原白秋 『新頌』 青空文庫
翠嶂山と呼ぶこのあたり、何かわびしい岩礁と白砂との間に高瀬舟の幾つかが水にゆれ、波に漂って、舷々相摩するところ、誰がつけたかその名も香木峡という。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
舷々並んだ時、この交驩の国際語を残して、ワラタ号は大きいだけに速力も早いのである。
— 牧逸馬 『沈黙の水平線』 青空文庫
舷々相触れんとして、衝突隔蓆が慌しく吊り下ろされた。
— 牧逸馬 『運命のSOS』 青空文庫
巨船二艘、舷々|相摩さんばかりの壮観である。
— 海のモザイク 『踊る地平線』 青空文庫
日本沿岸の太平洋も、この頃はまだ捕鯨船の圧迫が烈しくなかったから、海のすべてを警戒しながら海を渡るの必要はなく、たまたまここに現われた、ほぼ自分たちと同形の無名丸の一隻の如きは、ほとんど眼中になく、ために鯨と船とが舷々相摩する形になって、南へそれて行くのがすばらしいものでした。
— 弁信の巻 『大菩薩峠』 青空文庫