食い違い
くいちがい
名詞頻度ランク #18260 · 青空 56 例
標準
difference
文例 · 用例
十銭芸者の話も千日前の殺人事件の話も阿部定の話も、書けばありし日を偲ぶよすがになるとはいうものの、今日の世相と余りにかけ離れた時代感覚の食い違いは如何ともし難く、世相の哀しさを忘れて昔の夢を追うよりも、まず書くべきは世相ではあるまいか。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
こうした食い違いの原因がどこにあるにしろ、そのこと自身は僕にとって、かなり不愉快なことでした。
— 菊池寛 『M侯爵と写真師』 青空文庫
こうした感情の食い違いが、主従の間に深くなるにつれ、国政日に荒んで、越前侯乱行の噂は江戸の柳営にさえ達した。
— 菊池寛 『忠直卿行状記』 青空文庫
虎の門からだらだらと上がったところが今も残る紀国坂で、当時は食い違いご門があったから俗に食い違い見付とも言われてましたが、いずれにしても左は人家の影も見えないよもぎっ原で、右は土手上の松籟も怪鳥の夜鳴きではないかと怪しまれるようなお堀を控えての寂しい通り――。
— 笛の秘密 『右門捕物帖』 青空文庫
この現実の描写にあらわれて来ている理解の食い違いこそ、バルザックが受け身にだけ、而も具体的内容では必然的に違うそれぞれの階級の歴史性を抹殺して、金に支配される点だけを観念化して同一視した彼の世界観を、私共に説明するものなのである。
— 宮本百合子 『バルザックに対する評価』 青空文庫
が考えて見れば、これが一生を通じての、私の思索と、世間の常識との食い違いなのではなかろうか。
— 倉田百三 『光り合ういのち』 青空文庫
フォン・ノイマンとエッカートが協力して進めることになったEDVACの開発計画は、両者の発想の食い違いもあって大幅に遅れ、同方式の一号機はイギリス、ケンブリッジ大学のモーリス・V・ウィルクスによって一九四九年五月に作り上げられたEDSACとなった。
— 富田倫生 『パソコン創世記』 青空文庫
だが西の説得力のある切れ味の鋭いビジョンにさらされているうちに、松本はむしろ、二人のあいだにある志向の食い違いこそをはっきりと意識するようになった。
— 富田倫生 『パソコン創世記』 青空文庫