閉じ口
とじぐち
名詞
標準
文例 · 用例
悪魔……」 と叫びましたが、有り合う椅子にドッカと腰を下して、眼を閉じ口を一文字に結んでさも口惜しそうに――「宝蛇だ。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
そうして明るい光の輪の底には、白芙蓉のように蒼白い、彫刻のように端正の、主税の顔が弱々しく、眼を閉じ口を閉じて沈んでいた。
— 国枝史郎 『仇討姉妹笠』 青空文庫
眼を閉じ口を閉じた女の顔が、血紅色の龕燈の光に、瑪瑙のような色艶を帯びて、悲しそうに浮かび出た。
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫
思いのほかにたやすくはこびけるよ、とひそかに笑坪に入りて目をあげたる山木は、目を閉じ口を結びてさながら睡れるごとき中将の相貌を仰ぎて、さすがに一種の畏れを覚えつ。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫
俊恵は抵抗をやめてされるままになっていた、眼を閉じ口をひき結んで、埃臭い板敷へ投げだされたきり身動きもしなかった。
— 山本周五郎 『荒法師』 青空文庫