統べるて
すべるて
動詞
標準
文例 · 用例
勿論其の当時にあっては予も総べての希望を諦め老親の膝下に稼穡を事とする外なしと思ったが、末子たる予は手許に居るというても、近くに分家でもすれば兎に角、さもなければ他家に養子にゆくのであるから、老親の希望を遺憾なく満足させるは、少しく覚束ない事情がある。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
銀明水に達したるは午後七時に垂んとす、浅間社前の大石室に泊す、客は余を併せて四組七人、乾魚一枚、麩の味噌汁一杯、天保銭大の沢庵二切、晩餐の総べては是の如きのみ、葉マキ虫の葉を綴りて寝ぬる如く、一同皆|蒲団に包まりて一睡す。
— ――明治三十六年八月七日御殿場口にて観察―― 『霧の不二、月の不二』 青空文庫
総べてのものは、よりよく生きようとする。
— 葉山嘉樹 『牢獄の半日』 青空文庫
しきたりだからという単なる理由だけでは、何も青年男女の殆んど総べてが時期に後れまじと吸い付けられるように結婚するわけがありません。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
訴訟法上の形式として、総べての取調の終了したとき、裁判長は被告等に最後の陳述を許した。
— 平出修 『逆徒』 青空文庫
岸高く水遠くして瀬をなし淵をなし流るる川のさまも凡ならぬに、此方の岩より彼方の岩へかかれる吊橋の事なれば、塗りたる色の総べて青きもなかなかに見る眼|厭わしからず、瑞西あたりの景色の絵を目のあたり此処に見る心地す。
— 幸田露伴 『知々夫紀行』 青空文庫
キリスト教以外の思想でも宇宙には不可知の大主宰者がいるとする思想は皆|不知不識の間に宇宙を器とし、そして非器のものが在って之を総べて統合するもので、自然に我々の思議の及ぶ限りの範囲を我々の身のように取扱い、そしてその中心を漠然と想像して之に主宰者・造物主等の名を負わせているのに近い。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
そこでベドウスが暗号で「ハドソンが総べてを話した。
— コナンドイル 『グロリア・スコット号』 青空文庫