紅姫
べにひめ
名詞
標準
文例 · 用例
お前は旧来からこの家の、可愛い可愛い美紅姫。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
兄上様の御名前は、聞くも凜々しい紅矢様、 姉上様の御名前は、花の色添う濃紅姫。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
そうして王が軽く頷くと間もなく軍人と入れ違って、紅い服に白い靴を穿いた、彼の美紅姫とよく肖た少年がさも嬉しそうに元気よく走り込んで来た。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
第一番に見つけましたのは、紅木大臣の姉娘で、紅矢の妹の濃紅姫と申しまして、年は十六。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
この娘はこの間|真実の藍丸王様が御妃に遊ばす御約束を、兄の紅矢と遊ばしたので御座いますが、もし王様がこの娘を御妃に遊ばしたならば、この国はいつでも泰平で、王様はこの世の果までも、御位に御出で遊ばす事が出来るで御座いましょう」「何だ、その濃紅姫を妃にすると、この国はいつも静かに治まるというのか。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
その代りその間は毎日毎日不思議な話や珍らしい物語の詰め切りで、濃紅姫と千年御一所に御暮し遊ばすよりもずっと面白う御座います」「ふむ。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
そうしてその眼の光りで水底の鏡の表面を照しますと、鏡の表面は見る見る緑色に曇って来まして、間もなくその中から美紅姫の姿が朦朧と現われましたが、見ると今美紅姫は自分の室に閉じ籠もって、机の上に頬杖を突いて窓の外を見ながら何か恍惚と考えているところでした。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
成る程、これは美しい利口そうな娘だ」 と申しましたが、その中に鏡の中の美紅姫がこの方を向いて、王の顔をじっと見たと思うと、美紅の室も机も着ている着物も消え失せてしまって、あとに残った美紅の姿はそっくりそのまま、海の中の藻の林で、美留藻が鏡を覗いているところになりました。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫