黝い
くろい
形容詞
標準
文例 · 用例
少年時少年時黝い石に夏の日が照りつけ、庭の地面が、朱色に睡つてゐた。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
」 やがて太陽は落ち、黄水晶の薄明穹も沈み、星が光りそめ、空は青黝い淵になりました。
— 宮沢賢治 『まなづるとダァリヤ』 青空文庫
けれどももしこれがしんとした蒼黝い空間でならば全くどんなにいいだらう。
— 宮沢賢治 『山地の稜』 青空文庫
そしてガドルフは自分の熱って痛む頭の奥の、青黝い斜面の上に、すこしも動かずかがやいて立つ、もう一むれの貝細工の百合を、もっとはっきり見ておりました。
— 宮沢賢治 『ガドルフの百合』 青空文庫
「ほんまに私は不幸な女やと思いますわ」 朝の陽が蒼黝い女の皮膚に映えて、鼻の両脇の脂肪を温めていた。
— 織田作之助 『秋深き』 青空文庫
そして大粒の泪が蒼黝い皮膚を汚して落ちて来た。
— 織田作之助 『秋深き』 青空文庫
青白い浮腫がむくみ、黝い隈が周囲に目立つ充血した眼を不安そうにしょぼつかせて、「ちょっと現下の世相を……」語りに来たにしては、妙にソワソワと落ち着きがない。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
その時、トンビを着て茶色のソフトを被った眼の縁の黝い四十前後の男が、キョロキョロとはいって来ると、のそっと私の傍へ寄り、「旦那、面白い遊びは如何です。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫