懐中物
かいちゅうもの
名詞
標準
purse
文例 · 用例
掏摸が一度、豪勢な身なりをしている男の懐中物をくすねて鼻をあかしてやると、その快味が忘れられず、何回もそれを繰りかえし、かっぱらう。
— 黒島伝治 『国境』 青空文庫
これは水練に達した盗賊が水の底にかくれていて、錦の帯を囮に往来の旅人を引き摺り込んで、その懐中物や着物をみんな剥ぎ取るのだろうと云うんです。
— 帯取りの池 『半七捕物帳』 青空文庫
早縄をかけたまま横の山道へ担ぎ込んで、懐中物を取上げてみると案の定、蔵元屋の身上調べと、黒田藩のお納戸の乱脈を細かに調べ書きにしたものが、貸付証文と一緒に在ったわい」「あっ。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
それでも勘定だけはしておかうと思つて、女中を呼んで払ひのために懐中物を出しにかゝつた時、勃凸も気がついたやうに蟆口を取り出した。
— 有島武郎 『骨』 青空文庫
」 掏摸は陳じ得ず、低頭して罪を謝し、抜取りたる懐中物を恐る恐る捧げて踞まりつ、「どうぞお見逃しを願います。
— 泉鏡花 『金時計』 青空文庫
「この懐中物もやろう。
— 泉鏡花 『金時計』 青空文庫
ほッと酒が色に出ると、懐中物を懐へ、羽織の紐を引懸けて、ずッと立った。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
在るには在ったが、浅草観世音の境内で懐中物と一所に掏られてしもうたと云うのじゃ」「ハハア。
— 夢野久作 『斬られたさに』 青空文庫