遯
遯
名詞
標準
文例 · 用例
戸数は三十有余にて、住民|殆ど四五十なるが、いずれも俗塵を厭いて遯世したるが集りて、悠々閑日月を送るなり。
— 泉鏡花 『妖僧記』 青空文庫
官|之を悪みて賽児を捕えんとするに及び、賽児を奉ずる者|董彦杲、劉俊、賓鴻等、敢然として起って戦い、益都、安州、るに、刀刃入る能わざりければ、已むを得ずして復獄に下し、械枷を体に被らせ、鉄鈕もて足を繋ぎ置きけるに、俄にして皆おのずから解脱し、竟に遯れ去って終るところを知らず。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
燕王|位に即きて、諸官員の職を抛って遯去りし者の官籍を削る。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
父が上海に遯れてから、瑠美子と幼い妹と弟とは、継母とその子供と一緒に、小樽の家を畳んで、葉子の町からはちょっと距離のある、継母の実家のある町に移って来た。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
此説は懐之に自知の明があつて、早きを趁うて責任ある地位を遯れたものとも解せられる。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
住み倦めば山に遯るる心安さもあるべし。
— 夏目漱石 『薤露行』 青空文庫
昔|上杉憲実|遯世して遠竄せしを、主人|持氏を非業に死なせた報いと噂するを聞いて、われまた以て然りとなすと言った。
— 猪に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
秋はまた寒寂と隠遯とを楽む心を、鷦鷯のあのくすぼつたい小さな胸のなかに産みつけてゐる。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫