磊々
磊々
名詞
標準
文例 · 用例
皆不折が書いたので水彩の方は富士の六合目で磊々たる赭土塊を踏んで向うへ行く人物もある。
— 寺田寅彦 『根岸庵を訪う記』 青空文庫
あり来りの事で、亭主が三度かわった事だの、姑小姑に虐められた事だの、井戸川へ身を投げようとした事だの、最後に、浅間山の噴火口に立って、奥能登の故郷の方に向って手を合わせて、いまわという時、立騰る地獄の黒煙が、線香の脈となって、磊々たる熔岩が艾の形に変じた、といいます。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
…… いや爰でこそ、呑気らしい事をいふものゝ、磊々たる巉巌の尖頂へ攀ぢて、大菩薩の小さな祠の、たゞ掌に乗るばかり……といつた処で、人間のではない、毘沙門天の掌に据ゑ給ふ。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
大きな火山岩の磊々した防火地帯へ来ると、やがて堂々たるホテルの体形をとゝのへた長尾氏のヒユッテが左手の少し低いところに見えて来た。
— 徳田秋聲 『霧ヶ峰から鷲ヶ峰へ』 青空文庫
やれ可矣と安心する途端に、何処から飛んで来たか知らず、例の大石が磊々と落ちて来て、市郎の左の肱を強く撃ったので、彼は堪らず横さまに倒れた。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
北朗君、武二君と同道して銀座へ、磊々子、一石路夢道を訪ねる。
— 種田山頭火 『旅日記』 青空文庫
武二君と共に迎へられて磊々子居へ。
— 種田山頭火 『旅日記』 青空文庫
東京では遊びすぎた、やうやく東京を離れる、磊々子夫妻の温情は身にしみて有難かつた。
— 種田山頭火 『旅日記』 青空文庫