陶酔境
とうすいきょう
名詞
標準
intoxication (by liquor, music, etc.)
文例 · 用例
「妻よ、ファティアを陶酔境と訳してお呉れ!
— 牧野信一 『ファティアの花鬘』 青空文庫
それに、昨日今日の日和に、冬の名残が冷んやりと裸体に感ぜられながらも、高い天井から射し込む眩しい陽光を、恥しい程全身に浴びながら、清澄な湯槽にぐったりと身を横えたりする間の、疲れというか、あの一味放縦な陶酔境といったものは、彼にとって、ちょっと金で買えない娯しみであったのだ。
— 海野十三 『電気風呂の怪死事件』 青空文庫
が、葉子の美しい肉体の中には、黒吉の猛練習が生んだ、血と肉と骨の相尅する陶酔境が、空を切る鞭の下に、生々しく甦えり、彼女を甘美な夢に誘うのだった。
— 蘭郁二郎 『夢鬼』 青空文庫
それには魚がかかつて、ググと来たり、ツツンとあがつてくる瞬間の法悦境、そのアタリと魚を全く掌中のものとしてしまふまでの何秒間、それが釣技の深奥の目的であり陶酔境なのである。
— 佐藤惣之助 『日本の釣技』 青空文庫
観衆をして何等の期待なく、何等の予想なく、而も倦怠と焦燥を感ぜしめないで、刻々の陶酔境にひたりきることを得させれば、もう場面の切り方など重要な問題でない。
— 岸田國士 『戯曲以前のもの』 青空文庫
即ち、俳優と、その扮する人物と、その人物を創造した作者、この三つの生命を同時に感じる時、最も完全な陶酔境に浸り得る。
— 岸田國士 『演劇論の一方向』 青空文庫
また、それは同時に、かくの如き舞台の到達し得る妙境こそ、一個の優れた俳優が、その至芸を破綻なく、自由に、そして最も「個性的に」示すことによつて、観客を完全な陶酔境に導き終るものである。
— 岸田國士 『築地座の『旧友』』 青空文庫
彼女は篤き学究であったがゆえに、新しい生活様式についても超人的な探求と実行とをもって臨み、毎夜のごとく魂を忘れたる人のように底しれぬ深き陶酔境に彷徨しつづけるのであった。
— 海野十三 『ヒルミ夫人の冷蔵鞄』 青空文庫
作例 · 標準
彼はワインを飲み、やがて至福の陶酔境に達した。
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ライブ会場は、音楽に包まれた陶酔境と化していた。
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その作家は、執筆中の陶酔境が最高の喜びだと語った。
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