麁忽
麁忽
名詞
標準
文例 · 用例
(先晩の麁忽は、不残手前でございます。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
されどかく揃ひて好き容量は未だ見ずと、静緒は心に驚きつつ、蹈外せし麁忽ははや忘れて、見据うる流盻はその物を奪はんと覘ふが如く、吾を失へる顔は間抜けて、常は顧らるる貌ありながら、草の花の匂無きやうに、この貴婦人の傍には見劣せらるること夥かり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
不思議にも無難に踏留りし車夫は、この麁忽に気を奪れて立ちたりしが、面倒なる相手と見たりけん、そのまま轅を回して逃れんとするを、俥の上なる黒綾の吾妻コオト着て、素鼠縮緬の頭巾被れる婦人は樺色無地の絹臘虎の膝掛を推除けて、駐めよ、返せと悶ゆるを、猶聴かで曳々と挽き行く後より、「待て、こら!
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
秀郷が、竜宮から得た巻絹や俵米は尽きなんだが、一朝|麁忽な扱いしてから出やんだちゅう談に似た事も、諸邦に多い。
— 田原藤太竜宮入りの話 『十二支考』 青空文庫