抽出為る
ちゅうしゅつなる
名詞
標準
文例 · 用例
なぜならそれは、夢の現象と同じく、作者の潛在意識にひそむ經驗の再現であり、精神分析學だけが、科學的方法によつて抽出し得るものであるから。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
また場合により実験の結果が半ばあるいは部分的に予期に合すれば、実験者たる学者はその適合せる部分だけを抽出して自己の所説を確かむれども、かくのごとき抽象的分析に慣らされざる世俗は了解に苦しむ事もあるべし。
— 寺田寅彦 『自然現象の予報』 青空文庫
それで一つの方則を実験しようというならば、その実験を支配し得る種々の原因要素を分解して、その内から特にその方則に指定した要素のみを抽出し、他のものを除くようにしなければ予定の結果を得る事は出来ない。
— 寺田寅彦 『物理学実験の教授について』 青空文庫
例えば物理学者があらゆる物体の複雑な運動を観察して、これを求心運動、等加速運動、正弦運動などに分解してその中の一つを抽出し他を捨象する事によって、そこに普遍的な方則を設定する。
— 寺田寅彦 『漫画と科学』 青空文庫
曲の各部をリードしている楽器を時々に抽出してその方に吾々の注意を向けてくれる。
— 寺田寅彦 『映画雑感(5)』 青空文庫
が、用を言うと、「はい、」と背後むきに、戸棚へ立った時は、目を圧えた手を離して、すらりとなったが、半紙を抽出して、立返る頭髪も量そうに褄さきの運びとともに、またうなだれて、堪兼ねた涙が、白く咲いた山茶花に霜の白粉の溶けるばかり、はらはらと落つるのを、うっかり紙にうけて、……はっと思ったらしい。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
それゆゑ、この瘤取り物語から、日常倫理の教訓を抽出しようとすると、たいへんややこしい事になつて来るのである。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
それゆゑ、この瘤取り物語から、日常倫理の教訓を抽出しようとすると、たいへんややこしい事になつて來るのである。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫