輪なり
わなり
名詞
標準
文例 · 用例
」 黙って瞬でうなずいた目が消えると、たちまち井戸端へ飛んだと思う、総長屋の桝形形の空地へ水輪なりにキャキャと声が響いた。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
」と忙しく張上げて念じながら、舳を輪なりに辷らして中流で逆に戻して、一息ぐいと入れると、小波を打乱す薄月に影あるものが近いて、やがて舷にすれすれになった。
— 泉鏡花 『葛飾砂子』 青空文庫
岩へ寄せて、ひよいと水から取らうとすると、アゝ擽つたい、輪なりに一つピンと刎ねて、ピヨイとにげて、スイと泳いで、澄ましてゐる。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
一月中旬に入りて昇進任命などにあへる士官とともに、奥のおん目見えをゆるされ、正服着て宮に参り、人々と輪なりに一間に立ちて臨御を待つほどに、ゆがみよろぼひたる式部官に案内せられて妃出でたまひ、式部官に名をいはせて、ひとりびとりこと葉を掛け、手袋はづしたる右の手の甲に接吻せしめ玉ふ。
— 森鴎外 『文づかひ』 青空文庫
一月中旬に入りて昇進任命などにあえる士官とともに、奥のおん目見えをゆるされ、正服着て宮に参り、人々と輪なりに一間に立ちて臨御を待つほどに、ゆがみよろぼいたる式部官に案内せられて妃出でたまい、式部官に名をいわせて、ひとりびとりことばをかけ、手袋はずしたる右の手の甲に接吻せしめたもう。
— 森鴎外 『文づかい』 青空文庫
たとへば水中めがけて投げこんだにもせよ、その魔性の指輪なり頸飾なりは、水面を泳いで、すぐに又もとの手もとへ戻つて来をるのぢや。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 前篇』 青空文庫
快楽と実用とは、文学の両翼なり、双輪なり、之なくては鳥飛ぶ能はず、車走る能はず。
— 北村透谷 『明治文学管見』 青空文庫
」 そこで船は岸に添い、輪なりに先へ駛って行った。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫