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簑虫

簑虫
名詞
1
標準
文例 · 用例
三 簑虫 八月のある日、空は鼠色に曇って雨気を帯びた風の涼しい昼過ぎであった。
寺田寅彦 小さな出来事 青空文庫
すると私のすぐ眼の前に突き出ている小枝に簑虫のぶら下がっているのが眼に付いた。
寺田寅彦 小さな出来事 青空文庫
簑虫自身は眠っているのか、あるいは死んでいるのか、ともかくもこの干からびた簑を透して中に隠れた生命の断片を想像するのは困難なように思われた。
寺田寅彦 小さな出来事 青空文庫
「今僕の眼の前の紅葉の枝に簑虫が一匹いる。
寺田寅彦 小さな出来事 青空文庫
僕は蟻や蜂や毛虫や大概の虫についてその心持と云ったようなものを想像する事が出来ると思うが、この簑虫の心持だけはどうしても分らない。
寺田寅彦 小さな出来事 青空文庫
こんな人達はすぐ隣に住んでいるゴシップ等の眼にはあるいはちょうどこの簑虫のように気の知れない、また存在の朧気なものとしか見えなかったかもしれない。
寺田寅彦 小さな出来事 青空文庫
ただ簑虫とちがうのは、幾年かの後に思索研究の結果を発表して、急にあるいは徐々に世間を驚かした事である。
寺田寅彦 小さな出来事 青空文庫
そんな人は脇目にはこの簑虫と変ったところはなかったかもしれない。
寺田寅彦 小さな出来事 青空文庫