寡暮らし
やもめぐらし
名詞
標準
文例 · 用例
鰯の煮物を作るにも、しそと土しょうがをいれ、酢と醤油以外に水を使わず、些も生臭味の出ない様に煮るこつを心得ているといった風で、やもめ暮しに重宝であった。
— 織田作之助 『俗臭』 青空文庫
妻に死なれたあとずつとやもめ暮しの父の身の廻りのことを、一切やつて来たといふひとである。
— 織田作之助 『聴雨』 青空文庫
早くに夫を失って、母はやもめ暮しの手ひとつで娘をこれまでに育て上げたのであるが、貧しい暮しの都合から、たった一人の娘を奉公に出すことになった。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
さすがに、久しぶりの寝酒が、まわって来て、髯だらけの顔が、赤黒く酔い染っているのに当人は、まだまだ、どうして飲み足りない――血濁った目で、あたりを睨め廻すようにして、独り言―― ――だからよ、やもめ暮しはやり切れねえってことよ。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
彼は目下やもめ暮しであった。
— 海野十三 『鞄らしくない鞄』 青空文庫
丹七はそれを天罰だと思い込み、爾来、やもめ暮しをしながら、あさ子を育てて来たのであるが、こうして再びあさ子の身の上に悲運が落ちかかって来たのも、やはり、自分の犯した罪のむくいであると考えざるを得なかった。
— 小酒井不木 『血の盃』 青空文庫
面白いことには、ね、先生の家族は細君の実家の田舎へ疎開して行って、今たった一人のやもめ暮しです。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
三 気がついて見るとこの部落にはやもめ暮しの者が多かった。
— 金田千鶴 『夏蚕時』 青空文庫