焚きさし
たきさし
名詞
標準
文例 · 用例
焚きさしたる炭の半ば紅なるが、媼の座の畔にちりぼひたるは、妖魔の身邊に引くといふ奇しき圈とも看做さるべし。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
」 敗軍の陣屋はひっそりと鎮まって、焚きさしの篝火の光りもこの兄弟の影のように薄かった。
— 岡本綺堂 『小坂部姫』 青空文庫
ひとりにはひろき蚊帳の中、白くほのみえて、あふぐ団扇の音と共にえならぬ香り洩れて、縁には焚きさしの蚊遣火なほいきて残れる夏の短夜に、またぬ月影、はや松の枝にかたむきそめて、さやけき光を、ねやの中まで送れるは、いかなる浮世の外の情ぞや。
— 大町桂月 『月譜』 青空文庫