御転婆
おてんば
名詞
標準
文例 · 用例
終りに臨んで君が延岡に赴任されたら、其地の淑女にして、君子の好逑となるべき資格あるものを択んで一日も早く円満なる家庭をかたぢ作つて、かの不貞無節なる御転婆を事実の上に於て慚死せしめん事を希望します。
— 夏目金之助 『坊っちやん』 青空文庫
千代子はただ笑いながら、大丈夫よと答えただけであったが、ふと縁側の椅子に腰を掛けている僕を顧みて、市さんもそう云う御転婆は嫌でしょうと聞いた。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
「あなたはあたしを御転婆の馬鹿だと思って始終冷笑しているんです。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
これは漱石が一言の争もせず冥々の裡にこの御転婆を屈伏せしめたのである。
— 夏目漱石 『倫敦消息』 青空文庫
「なに趣向も何も有りゃしません、ただその上から飛び下りて見ろと云うんですわ、三つや四つの女の子ですもの、そんな御転婆な事が出来るはずがないです」「なるほどこりゃ趣向が無さ過ぎましたね。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
ところが、彼女は非常な山だしの御転婆で、夏はいつも跣足で歩きまわり、年が年中、髪を結ったことがなく、房々とした金髪は、波を打って肩の上に垂れかかり、頸や腕は、かなりに日に焼けていた。
— 小酒井不木 『誤った鑑定』 青空文庫
」「そうさな、まあ御転婆な点だけは幾分認めない事もないが――」「序に全部認めちまうさ。
— 芥川龍之介 『路上』 青空文庫
○ 下女と娼妓と児守の三役を兼ねて猶給金をやらずにすむものこれを嚊左衛門というとは野蛮なる亭主の暴言にして、御転婆娘に囲者のしだらなきを加えたるもの此を細君というとは当世の新夫人に僻易したる紳士の泣言なり。
— 永井荷風 『偏奇館漫録』 青空文庫