揚
よう
名詞
標準
文例 · 用例
そうしてまた理想的に成功した連作の歌として称揚したい。
— 伊藤左千夫 『歌の潤い』 青空文庫
葛籠の底に納めたりける一二枚の衣を打かへして、浅黄ちりめんの帯揚のうちより、五|通六通、数ふれば十二|通の文を出して旧の座へ戻れば、蘭燈のかげ少し暗きを、捻ぢ出す手もとに見ゆるは殿の名。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
「映らふ色やくれなゐの薄花桜」と歌われた三浦屋の揚巻も髭の意休に対して「慮外ながら揚巻で御座んす。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
そうして「無地表、裏模様」の渋味、すなわち趣味としての渋味は、甘味を止揚したもので、第三段たる「合」の段階を表わしている。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
「男へ対しそのものいひは、あまえずして色気あり」とか「言の葉草も野暮ならぬ」とかいう場合がそれであるが、この種の「いき」は普通は一語の発音の仕方、語尾の抑揚などに特色をもってくる。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
すなわち、一語を普通よりもやや長く引いて発音し、しかる後、急に抑揚を附けて言い切ることは言葉遣としての「いき」の基礎をなしている。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
しかし、「いき」のうちには「慮外ながら揚巻で御座んす」という、曲線では表わせない峻厳なところがある。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
「沈潜」のうちにも過去を擁する止揚の感情が表わされている。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫