神出
しんしゅつ
名詞
標準
文例 · 用例
白雲は低く飛び、狂瀾天に跳る印度洋上、世界の大惡魔と世に隱れなき七|隻の大海賊船をば、木葉微塵に粉韲いたる我帝國軍艦「日の出」と、神出鬼沒の電光艇とは、今や舷をならべて、本國指して歸航の途中である。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
とっこべとらこだらおれの方で取って食ってやるべ」 その語がまだ終らないうちに、神出鬼没のとっこべとらこが、門の向うの道のまん中にまっ白な毛をさか立てて、こっちをにらんで立ちました。
— 宮沢賢治 『とっこべとら子』 青空文庫
この竜神氏、当主は余の旧知で、伊達千広(陸奥宗光伯の父)の『竜神出湯日記』に、竜神一族は源三位頼政の五男、和泉守頼氏この山中に落ち来てこの奥なる殿垣内に隠れ住めり、殿といえるもその故なり。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
神出鬼没、変幻自在の怪犯人、残忍非道のイタズラ者のトリックの真相をドン底まで突き止めて来たのだ。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
そうしてこの程度まで鼻の表現を研究し得れば、最早所謂、機略縦横、神出鬼没の行き止まりとして世間から一種の敬意を払われるので、しかもこれを世渡りの秘訣、処生法の免許皆伝と心得ている人が又|頗る多いように見受けられるのであります。
— 夢野久作 『鼻の表現』 青空文庫
令嬢を狙う団体の攻撃準備いろいろ 不良少年団体は、皆結束を作って神出鬼没する。
— 夢野久作 『東京人の堕落時代』 青空文庫
益満休之助、神出鬼没、江戸中を――江戸中の女を、引っ掻き廻す――これが、隠れ蓑」「腰が、淋しゅうござんせんか」「野暮な邸の、大小棄てて、と、唄にあろう――富士春、もう一度、わしと、昔のようになってもよいぞ。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
一体にやたらに変装して神出奇没するのは不自然な感じを与えて私などの年輩の読者には興味が余程そがれる。
— 平林初之輔 『私の要求する探偵小説』 青空文庫