石苔
せきたい
名詞
標準
文例 · 用例
彼は水中の石苔に滑つて何度か転んだ。
— 田畑修一郎 『医師高間房一氏』 青空文庫
裏手の墓原に出て見ると、五輪塔が一尺くらいのから、茶人、佐久間將監の一間くらゐある巨大な五輪塔までずらりと併んでゐて、白い石苔をかぶつたまま、美しさのために夜啼きをしてゐるやうであつた。
— 室生犀星 『京洛日記』 青空文庫
相輪を埋めてゐる石苔が笠臺の上から基礎まで、ぺつとりと灰に薄い緑色をまぜた花のやうに蒸しついてゐた。
— 室生犀星 『京洛日記』 青空文庫
その他に小さい五輪塔が茸のやうに立つてゐて、どれにも風化の圓みが行はれ、石苔を帶びて恍惚せざるを得なかつた。
— 室生犀星 『京洛日記』 青空文庫
弘仁期の開基と聞くからに、白緑の石苔の上や、あやうげな勅額門の下に佇む連れの者まで、何か、遠い世代の人影みたいに見えてくる。
— 吉川英治 『随筆 新平家』 青空文庫