試植
ししょく
名詞
標準
文例 · 用例
富士の植物はもとより、金峰山から移した高山植物などがその辺に試植されている。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
大正四、五年頃、今は故人となった佐野静雄博士から伊豆伊東の別荘に試植するからと云って土佐の楊梅の苗を取寄せることを依頼された。
— 寺田寅彦 『郷土的味覚』 青空文庫
この山の中で林檎を試植したら、地梨の虫が上って花の蜜を吸う為に、実らずに了った。
— 島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 青空文庫
蕎麦は十俵の収穫があるとか、試植した銀杏、杉、竹などは大半枯れ消えたとか、栗も十三俵ほど播いてみたが、十四度も山火事に逢ううちに残ったのは既に五六間の高さに成ってよく実りはするけれども、樹の数は焼けて少いとか話した。
— 島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 青空文庫
総蔵はまた、凶年つづきの木曾地方のために、いかなる山野、悪田、空地にてもよくできるというジャガタラ芋(馬鈴薯)の試植を勧め、養蚕を奨励し、繰糸器械を輸入した。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫
だから江戸へ持ち帰ったのちも、危険だというのでそこらへ試植することをせず、わざわざ人眼をさけるために下男のへらへら平兵衛と二人きりで天井を二重にしてそこへ砂を運んで苗をおろし、ひそかに研究の資に供していただけなのである。
— 林不忘 『つづれ烏羽玉』 青空文庫
しかもその試植に参与したという玉城百名の農民の家が、米之子(コメノシ)という称号を賜わって、永く存続したことを附記しているのである。
— 柳田国男 『海上の道』 青空文庫