鬼子母
きしも
名詞
標準
文例 · 用例
日本の都會では、露路の至るところに、小さな侘しげな祠があり、狐や、猿や、大黒天や、鬼子母神や、その他の得體のわからぬ神神が、信心深く祭られてゐる。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
」「ヒ、ヒ、ヒ、空ざまに、波の上の女郎花、桔梗の帯を見ますと、や、背負守の扉を透いて、道中、道すがら参詣した、中山の法華経寺か、かねて御守護の雑司ヶ|谷か、真紅な柘榴が輝いて燃えて、鬼子母神の御影が見えたでしゅで、蛸遁げで、岩を吸い、吸い、色を変じて磯へ上った。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
みどり児を、片袖で胸に抱いて、御顔を少し仰向けに、吉祥果の枝を肩に振掛け、裳をひらりと、片足を軽く挙げて、――いいぐさは拙いが、舞などしたまう状に、たとえば踊りながらでんでん太鼓で、児をおあやしのような、鬼子母神の像があった。
— 泉鏡花 『七宝の柱』 青空文庫
そのまま、鬼子母神を礼して、ソッと戸を閉てた。
— 泉鏡花 『七宝の柱』 青空文庫
「一度、二十許りの親類の娘を連れて、鬼子母神へ参詣をした事がありますがね、桐の花が窓へ散る、しんとした御堂の燈明で視た、襟脚のよさというものは、拝んで閉じた目も凜として……白さは白粉以上なんです。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
この谷を一つ隔てた、向うの山の中途に、鬼子母神様のお寺がありましょう。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
あの柘榴の花の散った中へ、鬼子母神様の雲だといって、草履を脱いで坐ったのも、つい近頃のようですもの。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
鬼子母神様は紅い雲のように思われますね。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫