吹き送る
ふきおくる
動詞-五段-ラ行
標準
to waft
文例 · 用例
彼等は太平洋の岸辺に立って、大陸からの潮風が吹き送る新日本の文明を、いつも時代の尖鋭に於て触覚していた。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
芸術家はそれゆえ、自分のからだをひた隠しに隠して、ただその笛の音だけを吹き送る。
— 太宰治 『十五年間』 青空文庫
今日までの人々にとつては、その美しい日本アルプスなるものも、ただ冬期に嵐と雪とを吹き送る厄介なものたるに過ぎなかつたに異ひない。
— 吉江喬松 『山岳美觀』 青空文庫
西山一帶は冬の嵐を捲いて來るもの、雪を吹き送るものとしか思はれてゐなかつた。
— 吉江喬松 『山岳美觀』 青空文庫
開聞のほとり迫平の松にあり屋久の島より吹き送る秋 前の天草が日本の西端なら、この開聞が岳は日本の南端で、その点もよく似てゐるがその調子の高いことも同じ程で何れもやたらに出来る種類の歌ではない。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
どの木、どの草、どの葉にも、冴えた萠葱と、金色と、深い紅とが入りまじり、そして、内気なそよ風も、水晶質のしら露の嬉し涙を吹き送る。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集拾遺』 青空文庫
その爲め蘆の湖から吹き送る濕氣が多くていけないなどゝいふ者があるが、併しその相模灘から湧き上つてくる水煮氣が刻々千變萬化の奇趣妙景を盡しつゝやがて雲となり溪を埋め、峯を這ひ大空を蔽うてゆく有樣を見ようとすれば蘆の湯に足を逗めてゐなければならぬ。
— 近松秋江 『箱根の山々』 青空文庫
暑かった江戸の一日も終わって、この貧しいとんがり長屋にも、自然はすこしの偏頗もなく、日暮れともなれば、涼しい夕風を吹き送るのでした。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
作例 · 標準
微風が花の香りを部屋の奥まで吹き送ってくれた。
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扇風機で涼しい空気を病人に吹き送り、体温を下げた。
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遠くで聞こえる音楽が、風に乗って耳元まで吹き送られてきた。
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