独り歩き
ひとりあるき
名詞
標準
文例 · 用例
もっとも、これは虎ではなく、豺(ぬくて)という狼の一種にとられるのであったが、とにかく郊外の夜中の独り歩きはまだ危険な頃だった。
— 中島敦 『虎狩』 青空文庫
勿論、誰が登仙し得るか判らないので、毎年その夜になると、すべての道士らはみな戸を閉じず、思い思いに独り歩きをして、天の迎いを待つのであった。
— 白猿伝・其他 『中国怪奇小説集』 青空文庫
日が暮れかかって、独り歩きの不安から、この婆さんは自分たちのあとに付いて来るのであろうかとも考えたので、彼は見返ってその行く先をきいたのである。
— 岡本綺堂 『経帷子の秘密』 青空文庫
勿論、その頃のことですから、異人たちの独り歩きは出来ません。
— 菊人形の昔 『半七捕物帳』 青空文庫
うちの猫だつたら、こんなとこに独り歩きなぞさせるもんですか。
— 薄田泣菫 『黒猫』 青空文庫
先々の道ではどうしてもゼーロンの従順な力を借りなければならぬことを思って私は鞍から降りて成るべく静かな独り歩きを試みせしめた。
— 牧野信一 『ゼーロン』 青空文庫
だから、この季節が近づくと人々は、この上もなく、この吹雪の精の迷信を怖れて、昼間といへども独り歩きをする者とてはなかつた。
— 牧野信一 『鬼の門』 青空文庫
いくら独り歩きをさせてある妹だからといって、顔面が粉砕してはいるが、身体の其の他の部分に何か見覚えの特徴があったろうし、また衣類や所持品が同じだといっても、そんなに厳密に同じものがあろう筈がない。
— 海野十三 『赤外線男』 青空文庫