軒並び
のきならび
名詞
標準
文例 · 用例
別に案ずるまでもない、同町の軒並び二町ばかり洲崎の方へ寄った角に、浅草紙、束藁、懐炉灰、蚊遣香などの荒物、烟草も封印なしの一銭五厘二銭玉、ぱいれっと、ひーろーぐらいな処を商う店がある、真中が抜裏の路地になって合角に格子戸|造の仕舞家が一軒。
— 泉鏡花 『葛飾砂子』 青空文庫
叔父が行きつけの福本という茶屋は、軒並びでは比較的大きくて綺麗な方であった。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
みんな気をつけろ」 つりさげた着物へぺったりと張りつけておいて、さっさと引き揚げていくと、すぐその足でやっていったところは軒並びのもう一軒の越後屋でした。
— 死人ぶろ 『右門捕物帖』 青空文庫
そりゃ、貧乏人同士の交際で、軒並びの奴も出来るだけのことはしてくれたが、向う様だって、その日その日に追われているのだ。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
葭簀を張りまわした軒並びに鬼灯提燈が下がつて、サイダーの瓶の硝子や掻きかけの氷の上にその灯の色をうつしてゐた。
— 田村俊子 『木乃伊の口紅』 青空文庫
此二つの村との間には、十年前までは畑も見られたが、今は、両方から軒並びが延びて来て、地境を隠して了うた。
— 折口信夫 『折口といふ名字』 青空文庫
軒並び覗いて見ても、隅々までも都会化した品物ばかりが並んでいる。
— 折口信夫 『山の湯雑記』 青空文庫
「それなら、わかつてますよ、親分」「何處の船だ」「船頭は、吾妻屋の若い衆でした、――行つて見ませう、眼と鼻の間だ」「よしツ、夜の明けないうちに片付けよう」 平次と八五郎はそのまゝ元柳橋の軒並び、吾妻屋を叩き起しました。
— 闇に飛ぶ箭 『錢形平次捕物控』 青空文庫