有るか無きか
あるかなきか
表現
標準
so slight as to be all but non-existent
文例 · 用例
虫の声 垣根の朝顔やう/\小さく咲きて、昨日今日|葉がくれに一花みゆるも、そのはじめの事おもはれて哀れなるに、松虫すゞ虫いつしか鳴よわりて、朝日まちとりて竈馬の果敢なげに声する、小溝の端、壁の中など有るか無きかの命のほど、老たる人、病める身などにて聞たらば、さこそ比らべられて物がなしからん。
— 樋口一葉 『あきあはせ』 青空文庫
根の根の細かな繊毛のその岐れの殆ど有るか無きかの毛の尖のイルミネエション、それがセンチメンタリズムの極致とすれば、その毛の尖端にかじりついて泣く男、それは病気の朔太郎である。
— 萩原朔太郎 『月に吠える』 青空文庫
頂上を見ると黄色がかった小さい花が簇生しているが、それはきわめて謙遜な、有るか無きかのものである。
— 寺田寅彦 『病室の花』 青空文庫
何故か此の有るか無きかの影が、ハツキリと眼に付いた。
— 三島霜川 『平民の娘』 青空文庫
雨戸一枚繰り開けたるところより首をさし出して窺ふに、薄墨色の雲の底に有るか無きかの星影の見えたるなど、猶おぼつか無くは思はるれど望みを断つべくもあらぬさまとなりぬ。
— 幸田露伴 『鼠頭魚釣り』 青空文庫
大巌山の幻が、闇の気勢に目を圧えて、用水の音|凄じく、地を揺るごとく聞えた時、道子は俤さえ、衣の色さえ、有るか無きかの声して、「夢ではないのでしょうかしら。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
かれはいかに母を説き動かしけん、余は彼ら親子の家に寄寓することとなり、エリスと余とはいつよりとはなしに、有るか無きかの収入を合せて、憂きがなかにも楽しき月日を送りぬ。
— 森鴎外 『舞姫』 青空文庫
小な胸には、大切なものを落したやうに、大袈裟にハツとしたが、ふと心着くと、絹糸の端が有るか無きかに、指に挟つて残つて居たので、うかゞひ、うかゞひ、密と引くと、糸巻は、ひらりと面を返して、糸はする/\と手繰られる。
— 泉鏡花 『蠅を憎む記』 青空文庫
作例 · 標準
私は毎日有るか無きかについて考えている。
有るか無きかという言葉は日本語で重要だ。
彼は有るか無きかの意味を理解している。
この文には有るか無きかが含まれている。