碧緑
へきりょく
名詞
標準
文例 · 用例
五 しばらくすると、この旱に水は涸れたが、碧緑の葉の深く繁れる中なる、緋葉の滝と云うのに対して、紫玉は蓮池の汀を歩行いていた。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
けれども、羽に碧緑の艶濃く、赤と黄の斑を飾って、腹に光のある虫だから、留った土が砥になって、磨いたように燦然とする。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫
碧緑赤黄の色で誘うのか知らん。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫
新聞紙で包んだものを取り出すのを見ると、この家庭芸術家三人の作品のたぶん代表的なものであろう、分厚で長方形のシガレットケース――これは科学者の作、それから半月形の灰皿――これは美しい令夫人の作、それから手どくで白釉に碧緑の色を流した花瓶――これは母堂の作である。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
五 少時すると、此の旱に水は涸れたが、碧緑の葉の深く繁れる中なる、緋葉の滝と云ふのに対して、紫玉は蓮池の汀を歩行いて居た。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
…… 色を五百機の碧緑に織つて、濡色の艶透通る薄日の影は――裡に何を棲ますべき――大なる琅※の柱を映し、抱くべく繞るべき翡翠の帳の壁を描く。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
見渡せば、果しのない碧緑の海であった。
— 海野十三 『浮かぶ飛行島』 青空文庫
そこへふっさり幹を斜に空から後期印象派風の柳が豊富な葉を垂らし、快晴の午後二時頃人声もしないその小道を行くと、何と云おう――様々な緑、紅緑、黄緑、碧緑、優しい銀緑色の清純な馨ばしさ、重さ、燦めきが堆団となっていちどきに感覚へ溢れて来る。
— 宮本百合子 『わが五月』 青空文庫