疑雲
ぎうん
名詞
標準
cloud of suspicion
文例 · 用例
近頃の疑雲のただよう欧洲に於いて私共は今直ちに非常時訓練をして居なければ駄目だと思うの、ママよく考えて置いてね。
— 岡本かの子 『母と娘』 青空文庫
行ってみるとさらに大きな疑雲を残して、いずれかへ逸早く姿をかくしたあとでしたから、退屈男の言葉の鋭く冴えたのは言うまでもないことでした。
— 後の旗本退屈男 『旗本退屈男 第三話』 青空文庫
事実はがぜんここにいたって妖々と、さらにいっそうの怪奇ななぞと疑雲に包まれ終わったかと思われましたが、しかし、両名の陳述を聴取するや同時、さえざえとさえまさったことばが、ずばりと名人の口から言い放たれました。
— へび使い小町 『右門捕物帖』 青空文庫
むだ口きくなよ」 がぜん、十兵衛に対する疑雲が数倍の濃度を増してまいりましたので、それと感づかれないようにあっさり引き揚げると、そこの路地奥のへいぎわにぴたりと身を寄せながら、疑問の番頭の行動監視を始めました。
— 明月一夜騒動 『右門捕物帖』 青空文庫
身軽な子どもと売った先との間のつながりを見つけ出したら、このあやしき疑雲はおのずから解けてくるのです。
— 死人ぶろ 『右門捕物帖』 青空文庫
何とかして、真犯人を見つけて、あなたに覆いかぶさろうとする疑雲を散らしたいと思うのです。
— 小酒井不木 『好色破邪顕正』 青空文庫
その愛憎並存を老齢のまきにあてて、この事件はますます疑雲におおわれてしまった。
— 小栗虫太郎 『方子と末起』 青空文庫
「役場へゆくんだ」 この深夜に役場へゆくのはなんのためだろう、巌の頭に一朶の疑雲がただようた。
— 佐藤紅緑 『ああ玉杯に花うけて』 青空文庫