金遣い
かねづかい
名詞
標準
文例 · 用例
飴は鳩や馬や犬の型に入れられ、冷めたところで棒ごと剥がれるのが、後を引かせるのだったが、その辺には駄菓子屋もあり、文字焼にあんこ焼などが、子供の食慾をそそり、銀子は金遣いのきびきびしているところから、商人たちにも人気がよかった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
金遣いの荒いことや、気前の好過ぎることなどもその一つであった。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
上条のお上さんがお世辞を言わない、破格な金遣いをしない岡田を褒め始めたのは、この信頼に本づいている。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
あの甚右衛門という奴は正直な田舎者のように化けているが、あいつは確かに贋金遣いだ」 豊吉の顔は藍のようになった。
— 雪達磨 『半七捕物帳』 青空文庫
一体その番頭というのはどんな奴だえ」 与七の説明によると、下総屋の番頭吉助はもう四十近い男で、酒は相当に飲むが至極おとなしい質の上に、金遣いも悪くないので、お駒も大事に勤めている馴染客であった。
— 張子の虎 『半七捕物帳』 青空文庫
金遣いにかけては、貧家に育った譲吉は、可なり小心であった。
— 菊池寛 『大島が出来る話』 青空文庫
間もなくそこへ行ったが、私の両親の無考えな虚栄は、私に、すでに自分の心にはごく親しいものであった奢侈に思いのままにふけることが――大ブリテンでももっとも金持の貴族の傲慢な子弟たちと金遣いの荒さでは張りあうことが――できるようにさせたほどの小遣いと年々の費用とを、あてがってくれた。
— WILLIAM WILSON 『ウィリアム・ウィルスン』 青空文庫
ただ、自分が金遣いの荒い道楽者連中のあいだでも群を抜いていたということと、あまたの新しい愚行を考え出して、ヨーロッパじゅうでもいちばん放縦な大学でその当時常に行われていた悪徳の長い目録に、かなりの増補を加えたということとを、言っておくだけにしよう。
— WILLIAM WILSON 『ウィリアム・ウィルスン』 青空文庫