迯
迯
名詞
標準
文例 · 用例
が、「爰将門妻去夫留、忿怨不少」「件妻背同気之中、迯帰於夫家」とあるところを見ると、妻が拘はれたやうでもある。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
相手にならねば、甚機嫌がわるい※から、余義なくその手を押さえそうにすれば、忽ちきゃッきゃッと軽忽な声を発し、高く笑い、遠方へ迯げ、例の睚の裏を返して、ベベベーという。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
われ慌てゝ迯ぐるを、少女はすかさず追ひすがりて、兩膝にて我身をしかと挾み、いやがりて振り向かむとする頭を、やう/\胸の方へ引き寄せたり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
昔なら「そこが芝居だ」という迯道があったので、「野暮をいうな」位で話は済むんだが、今ではそう簡単に行かないから面倒です。
— 岡本綺堂 『久保田米斎君の思い出』 青空文庫
美和子も、さすがに、姉の厳しい様子に、ちょっと目を迯らすようにして、真面目な表情をしたが、すぐに不貞腐れて、白々しく、「へえ――。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
新子は、首を振りながら、ふとぶっつかった準之助の眼の中に、いつの間にか、愛人同士らしい複雑な表情が宿っているのを見て、あわてて眼を迯らせながら、自分でもいい加減な返事の出来ない気持になりながら、その場合無難な返事として、「美和子が、何を申し上げたのでしょう?
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
最モ不便ナル國語ニ苦シム日本ハ其ノ苦痛ヲ迯ルルタメニ先ヅ第二國語トシテ並用スル時、自然淘汰ノ理法ニヨリテ五十年ノ後ニハ國民全部ガ自ラ國際語ヲ第一國語トシテ使用スルニ至ルベシ。
— 北一輝 『日本改造法案大綱』 青空文庫
「酷く負けて迯げて来ました」「それは好く迯げていらつしやいました」 例の歪める口を窄めて内儀は空々しく笑ひしが、忽ち彼の羽織の紐の偏断れたるを見尤めて、環の失せたりと知るより、慌て驚きて起たんとせり、如何にとなればその環は純金製のものなればなり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫