奇しき
くしき
連体詞
標準
strange
文例 · 用例
八雲立ちといひたまはで、八雲立つと言い切り玉へるも彼の奇しき瑞雲に驚かせ給へる語勢なりなどいへる、ことに奇しき言なり。
— 幸田露伴 『雲のいろ/\』 青空文庫
崇神紀の歌に、八雲立つ出雲梟師が云々と歌へるも、八雲たちとは云はで八雲立つといひたるなれば、驚きたる語勢なりといふべきか、いと奇しき言なり。
— 幸田露伴 『雲のいろ/\』 青空文庫
私は奇しきよろこびを感じつつ、冷たい寝床へもぐり込んだ。
— 太宰治 『断崖の錯覚』 青空文庫
ちょうど引潮の海の色は、煙の中に藍を湛えて、或は十畳、二十畳、五畳、三畳、真砂の床に絶えては連なる、平らな岩の、天地の奇しき手に、鉄槌のあとの見ゆるあり、削りかけの鑪の目の立ったるあり。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
思へば奇しき成行であつた。
— 平出修 『逆徒』 青空文庫
」 と襟を圧えて俯向いて、撥袋を取って背後に投げたが、留南奇の薫が颯として、夕暮の奇しき花、散らすに惜しき風情あり。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
」軒は巌を削れる如く、棟広く柱黒き峯の茶屋に、木の根のくりぬきの火鉢を据えて、畳二畳にも余りなん、大熊の皮を敷いた彼方に、出迎えた、むすび髪の色白な若い娘は、唯見ると活けるその熊の背に、片膝して腰を掛けた、奇しき山媛の風情があった。
— 泉鏡花 『栃の実』 青空文庫
天保十一年、竹琴を発明し、のち京に上りて、その製造を琴屋に命じたところが、琴屋のあるじの曰く、奇しき事もあるものかな。
— 太宰治 『盲人独笑』 青空文庫