消し壺
けしつぼ
名詞
標準
文例 · 用例
何か事があると来てもらうことに決まっている植木屋の幸さんという男が、通りから火消し壺を買って来て、自分で小さいその死骸を中へ収めた。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
お君が火消し壺からまだ消えない火種を拾い出して来ると、林之助はとりあえず一服すった。
— 岡本綺堂 『両国の秋』 青空文庫
灰を」 若侍たちは、あわてて灰をかぶせたり、黒いのを、火消し壺へ入れたりして、仕すました顔していた。
— 第一分冊 『新書太閤記』 青空文庫
こんなことを書くと、神田末広町の釣り餌問屋保苅から営業妨害で告訴されるかもしれないが、庭のない家なら、素焼きの土器、火消し壺、ドビン、土釜、菊鉢のひびのはいったもの、また、みかん箱でも結構育てられる。
— 三遊亭金馬 『江戸前の釣り』 青空文庫
幼獣の歌黒い夜草深い野にあつて、一匹の獣が火消壺の中で燧石を打つて、星を作つた。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
十二 お若の身は火消壺、蛍ばかりに消え残った、可哀に美しく凄い瞳に、自分のを直して着せた滝縞お召の寝々衣を着た男と、……不断じめのまだ残る、袱紗帯を、あろう事か、〆めるはまだしも、しゃら解けさして、四十歳宿場の遊女どの、紅入友染の長襦袢。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
…… 類は友だっていいますがね、此奴の方が華表かずが多いだけに、火の玉の奴ア脊負なげを食って、消壺へジュウー……へへへ、いい様じゃありませんか、お互です。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
」 寝がけにおくみは長火鉢の火を火消壺へ入れながら、お湯を呑んでゐられる洗吉さんと話した。
— 鈴木三重吉 『桑の実』 青空文庫