霜を置いた
しもをおいた
表現形容詞-語幹
標準
gray
文例 · 用例
目の下の汀なる枯蘆に、縦横に霜を置いたのが、天心の月に咲いた青い珊瑚珠のように見えて、その中から、瑪瑙の桟に似て、長く水面を遥に渡るのは別館の長廊下で、棟に欄干を繞した月の色と、露の光をうけるための台のような建ものが、中空にも立てば、水にも映る。
— 泉鏡花 『鷭狩』 青空文庫
下町の家々の屋根は霜を置いたように白かった。
— 岡本綺堂 『魚妖』 青空文庫
下町の家々の屋根は霜を置いたやうに白かつた。
— 岡本綺堂 『魚妖』 青空文庫
都の寺でらの鐘が戌の刻(午後八時)を告げるのを待ち侘びて、千枝太郎は土御門の屋敷を忍んで出ると、八月九日の月は霜を置いたように彼の袖を白く照らした。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
荒れた狭い庭の柿の木には霜を置いたやうな小粒な渋柿がいくつか実つてゐた。
— 林芙美子 『浮雲』 青空文庫
すでに、盗人たちがちりぢりに、死人を残して引き揚げた小路は、月に照らされて、さながら霜を置いたようにうす白い。
— 芥川龍之介 『偸盗』 青空文庫
七 まだ二月半ばの厳しい寒威は残っていても、さすがに祇園町まで来てみると明麗な灯の色にも、絶ゆる間もない人の往来にも、何となくもう春が近づいて来たようで、ことに東京と異って、京は冬でも風がなくって静かなせいか夜気の肌触りは身を切るように冷たくっても、ほの白く露霜を置いた、しっとりとした夜であった。
— 近松秋江 『霜凍る宵』 青空文庫
尋常の板の間ならば何でもないことですけれど、水車小屋の板の間ですから、粉と糠で、霜を置いたようにいっぱいに塗られてあるところですから、そこに手足の指のあとと、着物で掃かれた粉末の飛散のなごりをとどめないというわけにはゆきません。
— めいろの巻 『大菩薩峠』 青空文庫
作例 · 標準
父の側頭部には霜を置いたような白いものが混じり始め、時の流れを感じさせた。
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霜を置いた眉が特徴的なその老紳士は、静かにパイプを燻らせていた。
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「いつの間にか、私も霜を置いた頭を気にする年齢になってしまいましたよ」。
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