毛深
けぶか
名詞
標準
文例 · 用例
マダム・レムブルグの毛深い部屋でこの陳独秀の悲壮な報告が終って、彼は自己の生涯の最後を南支那海のビイクトリア島においたのであった。
— 吉行エイスケ 『地図に出てくる男女』 青空文庫
」と中腰になって、鉄火箸で炭を開けて、五徳を摺って引傾がった銅の大薬鑵の肌を、毛深い手の甲でむずと撫でる。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
」 だぶ/\の支那服の袖から、太短かい指を持った毛深い腕がのぞいていた。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
唯、氣むづかしげな顏をした、栗毛の犬だけが主人の傍に坐つて、その幅のある、毛深い前肢の一つを、クリストフ・デトレェヴの大きな灰色の手の上にのせてゐた。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から』 青空文庫
この薑、口|疼く 男は、叫ぶと猛然、女の代りに鹿に飛びかかって、毛深く逞しい拳を振り上げて、丁々と撃った。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
眼の玉が濡れたように薄茶色を帯びて、眉毛の生尻が青々と毛深く、いかにも西洋人めいた生々しい逞しさは、五年前と変っていない。
— 織田作之助 『雪の夜』 青空文庫
雪のようだと言えばそんなに冷たいかとこたえ白うさぎのようだと言えばそんなに毛深い柔らかいのかと聞きかえした。
— 寺田寅彦 『物理学と感覚』 青空文庫
もう一つは毛深い熊があと足を前に投げ出してすわっている、それが首と前足とを動かして滑稽な格好をして踊りだすと腹の中でオルゴールのかわいらしい音楽が聞こえて来るのである。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫