躙り寄る
にじりよる
動詞
標準
文例 · 用例
お雪は声を呑んで袂に食着いていたのであるが、優しくされて気も弛んで、わっと嗚咽して崩折れたのを、慰められ、賺されてか、節も砕けるほど身に染みて、夢中に躙り寄る男の傍。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
自宅へも寄らずにその足で海老床へ駈けつけた勘次は、案の定暢気そうな藤吉を見出してそのまま躙り寄ると何事か耳許へ囁いた。
— のの字の刀痕 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫
京作 (おちかの方に躙り寄る)万籟 愛するものは何ものも怖れずして進め。
— 岸田國士 『麺麭屋文六の思案(二場)』 青空文庫
どうしてなかなかの大したものだ」「ならお前ひとつ」 宝の山に入りながらというようないかにも惜しそうな顔を、圓生はしてみせたが、「どっこい、それが」「ウム」 ニヤリ杉大門は上目して、「せっかくだけれどね、まだどうも」「ド、ドどうして、どうしてよ」 躙り寄るように、圓生はしてきた。
— 正岡容 『小説 圓朝』 青空文庫