来現
らいげん
名詞
標準
文例 · 用例
私たちの教科書、神代の事は申すもかしこし、神武天皇以来現代まで、阿倍比羅夫ただ一個所に於いて「津軽」の名前を見つける事が出来るだけだといふのは、まことに心細い。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
由来現今の日本人はすべてのものの批判の標準を西洋人の頭の中へ置くのであるから、西洋人の全然知らない従って称揚しない連句が問題にならないのもやむを得ない次第であろう。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫
しかしまた、現在映画の世界にのみ存する事象が将来現世界に可能とならないという証拠もないとすると、現在の映画の夢は将来の現実の実相を導き出す先駆となり前兆とならないとも限らない。
— 寺田寅彦 『映画雑感(3)』 青空文庫
マルクスがその「宣言」にいっているように、従来現存していたところの人々間の美しい精神的交渉は、漸次に廃棄されて、精神を除外した単なる物的交渉によっておきかえられるに至った。
— 有島武郎 『想片』 青空文庫
しかるに歴史というべきものは本来現在の歴史であり、我々自身が現在の行為において作るものであるとするならば、解釈学は歴史の論理として不十分であることを免れないであろう。
— 三木清 『解釈学と修辞学』 青空文庫
元来現象に内外の区別はない、主観的意識というも客観的実在界というも、同一の現象を異なった方面より見たので、具体的にはただ一つの事実があるだけである。
— 西田幾多郎 『善の研究』 青空文庫
そして――〔Vive la guerre e'ternelle〕(永久の戦い万歳です)――もちろん、新しきエルサレムの来現までですがね」「じゃあなたはなんといっても、新しきエルサレムを信じていらっしゃるんですか?
— フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 『罪と罰』 青空文庫
尤も世界の全体を統一的に把握すればその結果は唯だ一つの世界観にしかならない筈だから、総体的に統一的なものは同時に客観的なわけであるが、世界全体を把握して了うということが元来現実には決して生じない仮定だから、一般に統一的な世界観必ずしも客観的な世界観ではないのである。
— 戸坂潤 『思想としての文学』 青空文庫