涛音
とうおん
名詞
標準
文例 · 用例
幾人の人を癒やし、幾人の人を殺した此寢臺の上、親み慣れた藥の香を吸うて、濤音遠き枕に、夢むともなく夢むるのは十幾年の昔である。
— 石川啄木 『二筋の血』 青空文庫
幾人の人を癒やし、幾人の人を殺した此寝台の上、親み慣れた薬の香を吸うて、濤音遠き枕に、夢むともなく夢むるのは十幾年の昔である。
— 石川啄木 『二筋の血』 青空文庫
音楽の間にドドドウと舷を打つ重い濤音とともに、ギギギと船全体を軋ませ、ぐうっと右にロールした。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫
そして身のまわりの風声と濤音と泡立ちと喘鳴とのうちに、彼は胡桃の老木のざわざわ鳴り軋む音と、庭戸のぎいぎい言う響きとが、聞こえるように思った。
— TONIO KROGER 『トニオ・クレエゲル』 青空文庫
内海とはいえ、沖へ出ると、かなり大きな濤音が船体を横に搏つ。
— 第六分冊 『新書太閤記』 青空文庫
簾は捲かれ、四方は開け放たれ、ここも濤音のような松風のなかに在って、夏もわすれる涼しさのかわりに、燭の明滅ははなはだしい。
— 円明の巻 『宮本武蔵』 青空文庫