従令
じゅうれい
名詞
標準
文例 · 用例
さう云つた彼の声は、従令どんな種類のものであらうと「素晴しく大きな希望に炎えてゐる」人の声ではなかつた。
— 牧野信一 『鏡地獄』 青空文庫
一つの歓楽の対照を想像して見ると(それが従令活動写真か寄席へ入る事でも、)彼は充分其場に応じた愉快を考へる事が出来た。
— 牧野信一 『白明』 青空文庫
第一、私が照子に従令嘘であるにせよ、今山村に責められるやうなことを云つてゐる上は、普段私が照子のことを山村に話してゐる事実とは余りに相違してゐることなので、私の人格の劣等さ加減は、どうしたつて山村から許されることは出来ないのだ。
— 牧野信一 『妄想患者』 青空文庫
従令自分が蒔いた種とは云へ、余り自分が馬鹿気てゐて笑へもしなかつた。
— 牧野信一 『妄想患者』 青空文庫
僕なんてのやうにしよつちゆう飲んでゐると、従令一合の酒を飲んでも陶然としてその心は……」私は、自分が山村にだつたか?
— 牧野信一 『妄想患者』 青空文庫
飽くまでも文明の利器として、認識しなければ面白くなかつたのであるが、母や私は鉄道馬車で国府津へ赴き、煙りを吐く汽車に乗り慣れたので、従令線路の上を走るとは云ふものゝ人間が後おしをして滑走する人車などゝいふ鉄道に驚くわけには行かなかつた。
— 牧野信一 『熱海線私語』 青空文庫
丹那トンネルが開通したのはこの冒頭に誌した如く、去年の今頃であるが、従令阿父が健在であつたにしても、沿線のどこの一個所にも所有を保つた土地も無くなつたから、晩秋の大祭りの酒もうまくは飲めなかつたであらう。
— 牧野信一 『熱海線私語』 青空文庫
更に法律は、犯人に如何なる口実があらうとも裁判に問ふべき余地をも許さず、従令それがデイオニソス酒神の祝祭日であらうとも断じて彼を釈放せしめなかつた。
— 牧野信一 『ベツコウ蜂』 青空文庫