赤漆
せきしつ
名詞
標準
文例 · 用例
おかみさんは赤漆塗りの鉢の上に笊を置いて、桶の中から半分|潰れた葡萄の粒を、両手に掬って、お握りを作るやうな工合にしぼりはじめました。
— 宮沢賢治 『葡萄水』 青空文庫
反歌滴りいとど仏師がい掻く赤漆篦うちかへし春もいぬめり白鷺 童ぶり夕焼には、夕焼にはの、白鷺が紅つける。
— 北原白秋 『夢殿』 青空文庫
部屋の中は天井から床まで赤ずくめで、赤漆塗の卓が四ツ五ツ排列して在る間に、赤唐紙張の屏風が仕切ってある。
— 夢野久作 『超人鬚野博士』 青空文庫
おばあさま」 祖母は、赤漆で秋の熟柿を描いた角火鉢の傍に坐り、煙管などわざとこごみかかって弄りながら云う。
— 宮本百合子 『祖母のために』 青空文庫
千代子の青白い顔、その上に流れる糸の様に細く、赤漆の様につややかな、一筋の血のり、それがどんなに静にも美しく見えたことでしょう。
— 江戸川乱歩 『パノラマ島綺譚』 青空文庫
赤漆の小箱一つ、かつて肌身離さなかったのを、殿さまだけにはお目にかけた。
— 柳田国男 『雪国の春』 青空文庫