恐気
きょうき
名詞
標準
文例 · 用例
」 恐気もなく言放てる、片頬に微笑を含みたり。
— 泉鏡花 『琵琶伝』 青空文庫
麗かなる空をば一群の鳩輪をつくりて舞うが、姉上とわれと対いあえるに馴れて、恐気なく、此方の軒、彼方の屋根に颯と下しては翼を休めて、廂にも居たり。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫
大蛇でも居て狙うか、と若い者ちと恐気がついたげな、四辺に紛いそうな松の樹もなし、天窓の上から、四斗樽ほどな大蛇の頭が覗くというでもござるまい。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
「汝、業畜生、」と激昂の余り三度目の声は皺嗄れて、滅多打に振被った、小手の下へ、恐気もなく玉の顔、夜風に乱るる洗髪の島田を衝と入れて、敵と身体の擦合うばかり、中を割って引懸けにぐいと結んだ帯の背後へ、軍鶏を庇ったのはお夏である。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
すると其の席に居た三平が急に恐気を慄い出し、「旦那、私ゃあ催眠術が大嫌いなんだから、もうお止しなさい。
— 谷崎潤一郎 『幇間』 青空文庫