代える
かえる
動詞
標準
文例 · 用例
(三) ハ行音は、第二期の末までは、ファフィフゥフェフォのようにFではじまる音であったが、江戸時代に入って次第に変化を生じ、唇の合せ方が段々と弱くなり、遂には全く唇を動かさずして、これと類似した喉音hをもってこれに代えるようになった。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
アイヌ語の春「パイカラ」はだいぶちがうが、しかしpをbに、kをhに代えるとおのずからペルシアの春に接近する。
— 寺田寅彦 『言葉の不思議』 青空文庫
この時の演説の一部は科学者の教育問題に触れ、古典的死語に代えるべき仏独語の効能を述べている。
— 寺田寅彦 『レーリー卿(Lord Rayleigh)』 青空文庫
ついに弥太郎は露骨にあらゆる手蔓に向けて土地を金に代える算段をとった。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
料理場は口を引結んで弾丸を矢継ぎ早やに詰め代える塹壕の光景になった。
— 岡本かの子 『食魔に贈る』 青空文庫
下男の吉蔵は、まだ夜明け前の広い台所の真中へ三四枚の藁筵をひいて、近所の四五人の倔強の若者等と大釜の湯を取り分けて※た真赤な番茶を、前の夜から焚いて用意して置いた麦飯を、大きな茶碗に山盛りにした上からかけては、黄色な沢庵などを忙しく箸で挟み乍ら、何杯も何杯も代えるのであった。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
(蓮月、ふと気がついて机の傍に落ちて居る短冊を拾い)蓮月 ――これはむかし詠み捨てた歌を望む人があって書いたものですが、これをあなたに差上げますから、あなたの京から持って来られた短冊と代える事にして下さい。
— 岡本かの子 『ある日の蓮月尼』 青空文庫
そのような状態がフランスではエグジスタンシアリスムという一つの思想的必然をうみ、人間というものを包んでいた「伝統」的必然のヴェールをひきさくことによって、無に沈潜し、人間を醜怪と見、必然に代えるに偶然を以てし、ここに自由の極限を見るのである。
— 織田作之助 『可能性の文学』 青空文庫