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穏無

おだやかむ
名詞
1
標準
文例 · 用例
けれどもまず平穏無事に日が経ちますうち、ちょうど八月の中ごろの馬鹿に熱い日の晩でございます、長屋の者はみんな外に出て涼んでいましたが私だけは前の晩寝冷えをしたので身体の具合が悪く、宵から戸を閉めて床に就きました。
国木田独歩 女難 青空文庫
われわれの帰路は平穏無事であり、大氷原もやがては単に過去の思い出となるであろう。
北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃 世界怪談名作集 青空文庫
逆に、平穏無事のとき、彼はおかしいほど、しょげている。
―沙門悟浄の手記― 悟浄歎異 青空文庫
穏無事のときに悟空の行きすぎを引き留め、毎日の八戒の怠惰を戒めること。
―沙門悟浄の手記― 悟浄歎異 青空文庫
東町奉行所で白刃の下を脱れて、瀬田|済之助が此屋敷に駆け込んで来た時の屋敷は、決して此出来事を青天の霹靂として聞くやうな、平穏無事の光景ではなかつた。
森鴎外 大塩平八郎 青空文庫
Kの町から乗った人もあり、Fの町で降りた人もあったが、いずれも平穏無事で、なんの人騒がせをも仕出来さずに終ったので、わたしはひそかに失望しながら車外をぼんやり眺めていると、Fの駅の改札口をぬけて、十四、五人の乗客がつづいて出て来た。
岡本綺堂 深見夫人の死 青空文庫
今まで比較的に、平穏無事であったために、軌み合うことなしに過ぎた二人の性格の歯車が、今やカツカツと音を立てて触れ合っているのだった。
菊池寛 貞操問答 青空文庫
現在この村になつてをる土地は、まつたく平穏無事のやうぢやけれど、まだそんなに遠い昔のことでもないから、亡きわしの父はもとより、わし自身、今でも覚えてゐるが、その荒れはてた酒場は、その後ながいこと、あの悪魔の後裔めが自分で修復して棲んでをつたので、堅気な人はその側を通ることも避けるやうにしたものぢや。
VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI ディカーニカ近郷夜話 前篇 青空文庫