縺れ合う
もつれあう
動詞
標準
文例 · 用例
縺れ合う肉と肉との間から、突然叫びが起った。
— 岡本かの子 『決闘場』 青空文庫
宿命に忍従しようとする不安で逞しい勇気と、救いを信ずる寂しく敬虔な気持とが、その後のくめ子の胸の中を朝夕に縺れ合う。
— 岡本かの子 『家霊』 青空文庫
しかしながら煙は固より一所に停まるものではない、その性質として上へ上へと立ち登るのだから主人の眼もこの煙りの髪毛と縺れ合う奇観を落ちなく見ようとすれば、是非共眼を動かさなければならない。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
この声とこの顔ばかりは、かの紛々と縺れ合う群衆の上に高く傑出して、その瞬間には浴場全体がこの男一人になったと思わるるほどである。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
大杉の生涯は革命家の生血の滴たる戦闘であったが、同時に二人の女に縺れ合う恋の三つ巴の一代記でもあった。
— 内田魯庵 『最後の大杉』 青空文庫
拍手の音が、ようやく静まって来るとブランコの上の、二つの肉体は、縺れ合うように極めて徐々に注意深く動いていたが、すぐその縺れが、解けたのを見ると、葉子は、脚でブランコの綱をからんで、垂下り、そのほの白い手の先きには黒吉が、足を吊されて伸び伸びと、ぶら下っていた。
— 蘭郁二郎 『夢鬼』 青空文庫
二人は蹣跚たる足どりで、縺れ合うようにして噴水のある池の端までやって来た。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫
二人は縺れ合うようにして林の奥の小屋に行き、そこで交媾した。
— 久生十蘭 『湖畔』 青空文庫