隠れ去る
かくれさる
動詞
標準
文例 · 用例
鼻の筋通りたれば、額より口の辺まで、顔は一面の鼻にして、痩せたる頬は無きが如く、もし掌を以て鼻を蔽えば、乞食僧の顔は隠れ去るなり。
— 泉鏡花 『妖僧記』 青空文庫
幻のごとく軒に閃きて、宮なる鳥居を掠め、そのまま隠れ去る。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫
こはかれが家の庭を流れてかの街を貫くものとは異なり、遠き大川より引きし水道の類ゆえ、幅は三尺に足らねど深ければ水層多く、林を貫く辺りは一直線に走りて薄暗きかなたより現われまた薄暗き林の木陰に隠れ去るなり。
— 国木田独歩 『わかれ』 青空文庫
(Fなる魔法使いは、無音にて花陰へ隠れ去る。
— 国枝史郎 『レモンの花の咲く丘へ』 青空文庫
その時、彼女の束髪の下に隠れ去るその白い顔を眼瞼の中にしまい込むようにして、敬助は眼を閉じた。
— 豊島与志雄 『蘇生』 青空文庫
思ふにそれは、老いたる母への気兼ねから此の篁へ隠れ去るものとも推定されるが、又何等かの由来があつて、此の篁と其の争論と、彼等の心に密接な共鳴作用を起すものかも知れなかつた。
— 坂口安吾 『竹藪の家』 青空文庫
あとからあとから彼を試みるように出ては挑みかかり、戦ってはまた隠れ去る始末に、さすがの盧も、全身、水をあびたような汗になってしまった。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫