飲み足りない
のみたりない
表現形容詞
標準
not having had enough to drink (esp. alcohol)
文例 · 用例
或る晩彼が――いつものやうに銀座裏の酒場で十二時となり、郊外へ戻つて来たが、何うも飲み足りないので、途中の、場末の露路らしいごみ/\とした横町で車を降りてから、あちこちを物色すると、未だ、中から呑介連の声が切りに響いてゐる居酒屋を見出したので、雀躍りをして飛び込んだ。
— 牧野信一 『露路の友』 青空文庫
飲み足りないので、柄にもなく遠慮して、街へひとり出かけて、さらに飲み食ひする、酒六杯!
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
ことによると飲み足りないで、もう一本なんて、赤い手で徳久利を握って、細君の眼の前へぶらつかせる事があるかも知れません。
— 夏目漱石 『創作家の態度』 青空文庫
さすがに、久しぶりの寝酒が、まわって来て、髯だらけの顔が、赤黒く酔い染っているのに当人は、まだまだ、どうして飲み足りない――血濁った目で、あたりを睨め廻すようにして、独り言―― ――だからよ、やもめ暮しはやり切れねえってことよ。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
一座六人の中には、よいきげんになっても、まだ飲み足りないという人もいた。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
おあいは、まだ乳の飲み足りないで泣きつづけている児を再び抱き直して、背の中に入れた。
— 小川未明 『凍える女』 青空文庫
「済まないが、ちょいと繋いでくれ、整理部長がもう帰って来る筈だ、不自由はさせない」「弱ったなア、俺はまだ飲み足りないんだ」「一本取って嘗め乍らやってくれ、出がけにガード下の光ちゃんに出前を頼んで置くよ宜いか、満十」 早坂勇は外套を引っかけると、洒落れた鳥打帽を、頭の上の釘から取りました。
— 野村胡堂 『笑う悪魔』 青空文庫
大方あいつらはここだけでは飲み足りないで近所の居酒屋へでも飲みに行ったものだろうと思いました。
— 女子と小人の巻 『大菩薩峠』 青空文庫