差し当てる
さしあてる
動詞
標準
文例 · 用例
遠い先きのことや深いところは兎に角、差し当つたことを、何によらず傍目もふらずに、てきぱき片着けて行かなければ気のすまない彼女に、今日といふ観念の少しもない、どんな明日を夢みてゐるのか解らない木山の心理などの解りやうもなかつたが、何よりも男の愛情が疑はれて来た。
— 徳田秋声 『のらもの』 青空文庫
」「さあ、差し当つて……」司令官は労はるやうな眼附で、老人の下士を見かへつた。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
「差し当つて用事といつては無いやうです。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
それらの傷痕をかぞへることによつて、私たちは多分、お互ひの年齢の身丈を測ることができるだらうが、しかし差し当つてはそれをする必要もない。
— 神西清 『母たち』 青空文庫
荷物はあとで、あたくしが運びますから」「まア差し当つて、そこまで考へることはないぢやないか」「でも、ナアさん。
— 坂口安吾 『母の上京』 青空文庫
差し当つて、行くところが」「だからさ。
— 坂口安吾 『母の上京』 青空文庫
実際のところを打ち開ければ、この微妙な心の動きをとりあげる差し当つての必要は毫もなかつたものである。
— 坂口安吾 『狼園』 青空文庫