美衣
みえ
名詞
標準
文例 · 用例
なんだい、いゝ着物を貰って着て、おいらの旦那を惚れかそうなんて、――てめえは、いろ気狂いだぞ」 彼女のしどろもどろの悪罵の言葉の中からも、わたくしが汚い着物の下に美衣を着覆しているのをこの女は嗅ぎ付け、それによって嫉妬の火むらを一層高めているのを知りました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
美衣美食の生活者が、美衣美食を知らぬと同じ悲しさが梅三爺の上にもあった。
— 佐左木俊郎 『土竜』 青空文庫
しかし、日本に着いてからの四十年余りの間と云うものは、確かに美衣美食と高い教程でもって育まれていったのですから、外見だけでは、十分宮廷生活と申せましょう。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
暴かに富んで美衣好食するを見て上の婆羨ましくまた摺り臼を借りて爺とともに挽くに、唄の文句を忘れ「爺々前には糞下りろ、婆々前には尿下りろ」と唄うた通り不浄が落ちたので、怒ってその臼を割って焼きしまった。
— 犬に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
何のための美食、又何のための美衣、又何のための美食を取り美衣を纏ふものに対する羨望乃至反抗ぞや。
— 田山録弥 『谷合の碧い空』 青空文庫
そのために女に美衣を惜しんではならず、民衆には宗教を与える必要がある」と。
— 宮本百合子 『私も一人の女として』 青空文庫
その平生美衣美食、大きな邸宅に住居して散財の法も奇麗で、万事万端|思切りが能くて、世に処し政を料理するにも卑劣でない、至極面白い気風であるが、何分にも支那流の磊落を気取て一身の私を慎しむことに気が付かぬ。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
物見遊山の、美衣美食のと夢にさへ見たことがあるかどうか頗る怪しいものだ。
— 若山牧水 『一家』 青空文庫