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枯れ蓮

かれはす
名詞
1
標準
文例 · 用例
一枚開けた障子の隙から、漆のような黒い水に、枯れ蓮の茎や葉が一層くろぐろと水面に伏さっているのが窺かれる。
岡本かの子 雛妓 青空文庫
ならびに瘧病みの男と会う事 暁の星が白っぽく、旧家の池の枯れ蓮に風もない。
吉川英治 新・水滸伝 青空文庫
枯蓮もばらばらと、折れた茎に、トただ一つ留ったのは、硫黄ヶ島の赤蜻蛉。
泉鏡花 南地心中 青空文庫
といううちに、ふと風が静まると、広小路あたりの物音が渡って来て、颯と浮世に返ると、枯蓮の残ンの葉、折れた茎の、且つ浮き且つ沈むのが、幾千羽の白鷺のあるいは彳み、あるいは眠り、あるいは羽搏つ風情があった。
泉鏡花 薄紅梅 青空文庫
そのはろばろと眺め渡して行く起伏の末になると、枯蓮の枯葉は少くなり、ただ撓み曲った茎だけが、水上の形さながらに水面に落す影もろとも、いろいろに歪みを見せたOの字の姿を池に並べ重ねている。
岡本かの子 雛妓 青空文庫
並木に浸み剰った灯の光は池の水にも明るく届いて、さてはその照り返しで枯蓮の茎のO字をわたくしの眼にいちじるしく映じさすのであった。
岡本かの子 雛妓 青空文庫
石には苔の斑が薄青く吹き出して、灰を交えた紫の質に深く食い込む下に、枯蓮の黄な軸がすいすいと、去年の霜を弥生の中に突き出している。
夏目漱石 虞美人草 青空文庫
その葦の枯葉が池の中心に向って次第に疎になって、只|枯蓮の襤褸のような葉、海綿のような房が碁布せられ、葉や房の茎は、種々の高さに折れて、それが鋭角に聳えて、景物に荒涼な趣を添えている。
森鴎外 青空文庫